変形性膝関節症の痛み方は人それぞれです。
それは一口に変形性膝関節症といっても原因や障害の内容、場所が異なるためです。
この記事の目次
膝の裏側が痛いというケース
70歳女性のケースです。注射や薬があまり効かないために手術を検討しているとのことです。
変形性膝関節症を患っています。
立ち上がる時に、膝の裏側がぽきぽきと鳴り、伸ばすと痛く、特に歩き始めるのがつらいです。
今は注射と薬で耐えていますが、手術を検討しています。
手術をすれば、立ち上がる時の膝の裏側の痛みは改善するのでしょうか。
また、手術以外に痛みを治す治療があれば教えてください。
薬や注射が痛みに効かない時
最初にお話しした通りに変形性膝関節症は程度や障害の場所、また個人差によって痛み方が異なります。
変形が強くなり、痛みもそれに伴い強く感じるようになると「歩けなくなるのが心配なので手術してください」という方が多いです。しかし、ちょっと待ってください。
膝関節には骨、軟骨、半月板、靭帯などがあり、どこが病変の中心かで治療の方法も変わるためです。
まずは病変を突き止めるため、まずは診察が重要になります。触診やレントゲンではよくわからず、MRI(磁気共鳴画像)やエコーで分かることもあります。
変形性膝関節症の方の多くは膝の内側の痛みを訴えられますが、このケースの方は膝の裏側が痛いとのことです。
膝の裏側の痛みで多いのは、内側の半月板の最後方部分の損傷ですが、分かり難いため、内側半月板損傷全体の3割程度とする研究もあります。
患者さんの多くは50~75歳の女性で、痛みの箇所が自分ではっきり認識できることが多いです。
また、ここが重要なのですが、骨の壊死(えし)を伴うため、注射や薬が効きにくいケースが多いです。
手術は慎重に医師と相談を
診断が正しいか確認するためには、やはりレントゲンやMRI、エコーなどの検査が重要です。
・レントゲン
変形性膝関節症の程度、つまり軟骨のすり減りやO脚の程度を確認します。
・MRI、エコー
後角損傷の有無を確認できることが多いです。
手術をする場合は、検査の結果を参考にして、実際の関節鏡という内視鏡の一種で患部を確認し、半月板の処置だけ行うか、追加の処置を行うか、相談します。
MRIではっきりした所見がない場合もありますが、膝の裏側には他にも痛みの原因となる部位があります。
押して痛い部位や、エコー検査で炎症のある部位を参考にして診断し、患者さんに応じて、生活指導、ストレッチや筋力訓練などの理学療法、痛みや炎症のある部位への局所注射などを行います。
痛みが強い場合は、このような詳しい検査が必要ですので、手術前にはかかりつけの医師と十分に相談をしましょう。
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